No.182 常時ageで業者を釣るスレ より
- 4 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 04:46 ID:TtahfZaR
- 誰かてんてきあくまちゃん描いてください。
※てんてきあくまちゃんとは
・あくまなんだけど体が弱いの、いつも病院のベッドでわがままばっかり
でもそれはみんなと遊べず淋しいから。
・たまに天使ちゃんがお見舞いに来てくれるの、でもあくまちゃんは
せっかく天使ちゃんが持って来てくれたえほんを「そんなのいらない!」
って言って捨てちゃった・・・でも、天使ちゃんが泣きながら帰った後、
ちゃんとそのえほん読んだんだよ。ごめんね、天使ちゃん。
今日もてんてきあくまちゃんは一人淋しく病院のベッドの上でてんてきを
見つめています。てんてきと同じ位の涙を流しながら・・・・。
- 7 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 06:04 ID:TtahfZaR
またいつものように天使ちゃんはお見舞いにきました
「あくまちゃん、具合はどう?」
天使ちゃんが聞いてきます
「また・・・来たの・・・?・・・良くないよ・・・・」
あくまちゃんがもそもそと起き上がりながら言いました
「そっか・・・・早く良くなってみんなと遊べるようになるといいね」
天使ちゃんが明るい笑顔でいいました、しかしあくまちゃんはそっぽをむきました
- 8 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 06:04 ID:TtahfZaR
あくまちゃんは天使ちゃんが『みんな』と言うのが嫌でした
(いつだって・・・あたしは『みんな』の中にはいないのに・・・!)
そう思うようになったからです
「どうしたの?あくまちゃん?・・・やっぱり・・・具合良くないみたいね・・・」
「わかったなら早く帰ってよ」
あくまちゃんはそっぽをむいたまま天使ちゃんにいいました、これ以上天使ちゃんが『みんな』
なんて言い出すのが我慢できなかったのでした
「わ、わたし・・・もう帰るね・・・お大事に・・・」
- 9 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 06:05 ID:TtahfZaR
天使ちゃんの声はどこか震えてるようでした
しんと静まり返った病室
点滴の液がまた一つぽたりと落ちていきました
つづく
- 11 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 16:38 ID:T7BeocOI
しとしと雨の降る昼下がりに天使ちゃんがお見舞いに来ました
手にはなにやらスケッチブックを持っています
「今日は雨で退屈なんじゃないかなと思ってもってきたんだよ」
天使ちゃんはにっこり笑って言いましたがあくまちゃんは少しムッとしました
(あたしは雨でも晴れでもずっと病室なのに・・・)
なんてことを考えてるうちに天使ちゃんはてきぱきとお絵かきの準備をはじめました
「ね?ね?お互いの顔を描いて後で見せっこしようよ」
天使ちゃんはそう言うともう一冊のスケッチブックをあくまちゃんに渡しました
- 12 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 16:39 ID:T7BeocOI
「あたしお絵かきなんてしたくないよ」
あくまちゃんがそう言おうとしたとき天使ちゃんがクレヨンの箱のふたを開けました
「あっ・・・すごい・・・」
あくまちゃんは驚きました 箱の中には何十色というクレヨンがずらりと並んでいました
そしてそれを見てるうちにこのいろいろなクレヨンを使ってみたいと思うようになってきました
「じゃあ・・・ちょっとだけ描いてあげる」
あくまちゃんはそう言ってスケッチブックを開きました
- 13 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 16:40 ID:T7BeocOI
二人はもくもくと互いの顔を描き始めました
ときどき天使ちゃんと目が合うのをあくまちゃんはなんだか照れくさく感じました
しばらくして天使ちゃんの髪の毛を塗ろうとしたときあくまちゃんはあることに気付きました
「あれ?天使ちゃん、金色が無いよ?」
そう、ずらりと何十色も並んだクレヨンの中に金色だけがありませんでした
「あっ・・・ほんとだ・・・無い・・・。どっかへ無くしちゃったかなあ?」
そういって天使ちゃんがクレヨンの箱をのぞきこんだとき、あくまちゃんはふと天使ちゃんの絵を見ました
- 14 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 16:40 ID:T7BeocOI
・・・黒一色の絵
自分は何色も使って描いてあげてるのに天使ちゃんはあたしに黒しか使ってくれない・・・
確かに髪の毛も翼も黒だけれどくちびるは天使ちゃんと同じうす桃色をしてるのに・・・
「もういい!!お絵かきなんてやめる!!」
あくまちゃんは乱暴に自分のスケッチブックを閉じてしまいました
「ど、どうして?いいよ、無理して金色をつかわなくても・・・」
天使ちゃんの言葉にさらにあくまちゃんは腹立たしくなりました
(あなたは黒一色でしかあたしを描いてくれないくせに!!)
- 15 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 16:45 ID:T7BeocOI
「急にどうしたの・・・!?あくまちゃん・・・じゃ、じゃあせめて途中でもいいから絵を見せっこ・・・」
「嫌よ!あなたの絵なんか見たくもないしあたしのも見せたくないわ!!」
そう言うとあくまちゃんは自分の描いていた絵をビリビリと破ってしまいました
その瞬間、わあっと声をあげて天使ちゃんが病室の外へ駆け出していきました
「何よ・・・天使ちゃんが・・・悪いんじゃない・・・!」
- 16 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 16:46 ID:T7BeocOI
雨の音がさらにはげしくなってきました
あくまちゃんは天使ちゃんがおいていったスケッチブックを開きました
やはり黒一色
しかしよく見るととても薄い青色で波線のようなものが描かれていました
どうやら天使ちゃんは海を描こうとしてたようでした
- 17 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/10 16:46 ID:T7BeocOI
- そしてその線のすぐそばに
『また二人で海へ行きたいね』
と書いてありました
スケッチブックにまた一つ、また一つと涙が落ちていきました
つづく
- 50 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:06 ID:cLwRi3/N
朝がやってきました
着替えたり朝食を食べたり看護婦さんが点滴の液をかえたりといつもと同じ朝でした
そして、あとは一人っきり
あくまちゃんは点滴を見つめていました、ときおり窓の外も見ました
「あっ・・・」
あくまちゃんは小さな声を上げました
- 51 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:06 ID:cLwRi3/N
天使ちゃんです、天使ちゃんがここの病院に向かって歩いてくるのが見えました
「・・・・・」
あくまちゃんは体を起こしました、そしてしばらく天使ちゃんを待っていました
1分・・・2分・・・3分・・・4分・・・5分・・・6分・・・7分・・・
天使ちゃんはまだ病室に来ません
8分・・・9分・・・10分・・・11分・・・12分・・・13分・・・
まだまだ天使ちゃんは来ません
- 52 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:07 ID:cLwRi3/N
あくまちゃんは立ち上がり、点滴の台をがらがらと引きずってドアのところに行きました
「天使ちゃん・・・いるんでしょ」
・・・・返事がありません、あくまちゃんはドアを開けました
「あっ・・・・」
「・・・・・・」
声を上げたのは天使ちゃんのほうでした、天使ちゃんは何かばつが悪そうにうつむきました
二人はしばらく黙ってしまいました
- 53 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:07 ID:cLwRi3/N
「入りなよ、天使ちゃん」
先に口をひらいたのはあくまちゃんでした
「あ・・・う・・・うん」
天使ちゃんはこくりとうなずくと病室に入ってきました
「どうしているのが分かったの?」
天使ちゃんはとても不思議がっているようでした
「外を見てたからよ、ほら、そこを歩いてたでしょ」
あくまちゃんが指をさして言いました
- 54 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:12 ID:cLwRi3/N
「・・・そっか・・・・・・・あっ、ここの部屋、海も見えるんだね、ほら」
今度は天使ちゃんが指をさして言いました
あくまちゃんは海なんかとっくに見飽きているのになぜかその時は見たくなりました
窓の外、はるか向こうに海がありました
その海はなんだかいつもよりもきらきらと輝いて見えました
- 55 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:14 ID:cLwRi3/N
「ねぇ、天使ちゃん、その本は?」
ふいにあくまちゃんがたずねました
天使ちゃんはなんだかぶ厚い本を抱えていました
「えへへ・・・見る?」
天使ちゃんはなぜか恥ずかしそうに笑いました
「見せたくないなら別にいーわよ」
あくまちゃんはほんとは見たかったのですがちょっと意地悪しました
- 56 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:15 ID:cLwRi3/N
「もうー、そんなこといわないで、見ようよ、ね? ね?」
「仕方ないわね・・・」
そんなことを言いながら二人はベッドの端に並んで座りました
その本にはなんのタイトルも書かれていませんでしたが可愛らしい刺繍がされてありました
天使ちゃんが表紙をめくりました、そこには昔の天使ちゃんの写真が貼ってありました
「アルバムかぁ・・・」
あくまちゃんは顔をのぞきこみました
- 57 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:15 ID:cLwRi3/N
「えへへ・・・これが昔の私・・・今よりちょっと髪が短かったの、そしてこっちのは・・・」
天使ちゃんが一枚一枚説明しながらページをめくっていきます
あくまちゃんはそれをうなずきながら聞いていました
天使ちゃんがまた一つページをめくりました
- 58 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:16 ID:cLwRi3/N
「あたしだ・・・」
あくまちゃんはそれ以上言葉が出ませんでした
その写真には天使ちゃんに負けないくらいの笑顔の自分が写っていました
背後にはあの海も写っていました
- 59 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:22 ID:cLwRi3/N
「あくまちゃんの水着姿ってかわいいね」
天使ちゃんがふいにそんなことを言いました
『かわいい』と言われてあくまちゃんは恥ずかしくなって顔が赤くなりました
「こ、この時、天使ちゃんのほうがあたしよりかわいいと思って悔しかったわ」
あくまちゃんは天使ちゃんに赤い顔を見られないようにしながら言いました
- 60 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:22 ID:cLwRi3/N
- 海での写真が何枚もありました
二人で砂のお城をつくるところ
あくまちゃんがそのお城を壊したところ
天使ちゃんが貝殻を並べるところ
あくまちゃんがカニをつかまえたところ
海に沈む夕日を背に二人並んだところ
どの写真のあくまちゃんも元気いっぱいに写っていました
- 61 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:22 ID:cLwRi3/N
「楽しかったよね・・・・海」
天使ちゃんが言いました
「うん・・・・・」
あくまちゃんが答えました
天使ちゃんが次のページをめくりました
あとの写真は天使ちゃんと他のお友達との写真でした
そこからあくまちゃんの写った写真はありませんでした
- 62 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:22 ID:cLwRi3/N
あくまちゃんは急にとても寂しくなりました
なんだかそこから天使ちゃんの思い出から『おいてけぼり』になった気がしたからでした
あくまちゃんはそれ以上は見る気がありませんでした
「もういいよ・・・・」
「え?」
「あたしはもうここから写ってないんでしょ?だったら・・・・・もういいよ」
「・・・・・・・・・」
天使ちゃんは何も言えませんでした
- 63 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:28 ID:cLwRi3/N
また二人は黙ってしまいました
「あっ、もうこんな時間・・・・・・・・ごめん、そろそろ・・・私帰るね」
そう言って天使ちゃんが立ち上がりました
「待ってよ」
あくまちゃんが呼び止めました
- 64 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:28 ID:cLwRi3/N
- 「これ・・・返すね・・・」
あくまちゃんがあのスケッチブックを天使ちゃんに手渡しました
「あ・・・うん・・・ありがと・・・・・・」
天使ちゃんは急な出来事にただお礼を言うしかできませんでした
「ごめん・・・・ね・・・・・」
あくまちゃんが顔を伏せながら言いました
「うん・・・・・」
天使ちゃんはそれ以上は何も言わずスケッチブックを受け取りました
- 65 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:29 ID:cLwRi3/N
- 「あくまちゃん」
天使ちゃんが呼びました
「私、またあくまちゃんと海へ行きたいの」
天使ちゃんはそう言うと病室のドアのところへ歩いて行きました
そして振り返り
「約束だからね」
と言って病室から出て行きました
- 66 名前: ◆NTFpmgNTMs 投稿日:03/01/12 11:29 ID:cLwRi3/N
- 「・・・・・・・」
あくまちゃんはただただ黙っていました
――しかしこの約束が守られることはありませんでした、それは天使ちゃんのほうから
破ってしまうのですが、それはもう少しあとになってからのことです
つづく
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