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父の作った忘れられないもの より

921 名前:もぐもぐ名無しさん 投稿日:02/04/30 11:50
俺は親父が嫌いだった。
酒を飲むと、殴るからだ。俺も姉貴もよく殴られた。
オフクロは水商売に出てたから、いつも夜は俺と親父だけ。姉貴は塾でほとんどいなかった。
ある日、親父が俺を車に乗せて「市場にいく」と言い出した。
市場というのは、近くにある漁業市場のことだ。
俺は行きたくない、と言ったけど、親父は無理やり俺の手を引いて俺を連れまわした。
生臭い市場は、嫌いだった。床はヌルヌル、生魚の切れ端みたいなのが転がってる。
顔をしかめてる俺に、親父は小さなスプーンを渡した。
「なに、これ?」と尋ねると、親父は「これでな、あのおっちゃんとこのマグロのあらを掬うんや」
と言った。マグロの骨にこびりついた赤身をこそぎ落とせ、と言うのだ。


922 名前:もぐもぐ名無しさん 投稿日:02/04/30 11:56
渋々と、マグロの赤身をスプーンでこそぎ落とした。
紙皿にすき身を盛って、親父の所へ持って行くと、親父はそれにざっと醤油をかけて、
俺に食わせてくれた。ビックリするほど甘くて美味かった。子供心に驚いたのを覚えてる。
美味い、という俺を撫でて、親父は魚屋のおっさんと競艇の話を始めた。
ロクな思い出の無い親父だったが、昨年、肝臓をやられて死んだ。

今でも、マグロの刺身を食うたびに、酒に焼けて赤ら顔になった、あのクソ親父を思い出す。

あのな、クソ親父。俺な、あんたと同じ銘柄の煙草吸い始めたぞ。
マズいな、この煙草……

父の作った忘れられないもの 第2章 より

25 名前:ニモ 投稿日:02/05/11 13:39
母親がいない時に父親が作ってくれた味噌煮込みうどん。最高だった。
適当に作ったんだろうけど、美味かった。「美味いだろ?もっと食えよ」って
腹一杯になって食えなくなった時に言ってきたから断わったら不味いと思ってると
思われるからもう少し頑張って食べた。
今、俺は一人で住んでるから、あの時のただ親と一緒にいた時の事だけで
「幸せな時間だったんだなぁ」って思い出す。っていうか、今、少し泣いてる。

29 名前:もぐもぐ名無しさん 投稿日:02/05/11 21:23
国鉄分割民営化の時のゴタゴタがきっかけで国鉄職員だった父と母が離婚しました。
それ以来もう16年も父親に会っていません。
調理師免許を持っていた父がいろんな料理を作ってくれた記憶だけはありますが、
今は父親に叱られた時に泣きながら食べたチキンライスしか思い出せません。
ケチャップ味の淡いオレンジ色のご飯に涙をポタポタこぼしながら食べました。
もう社会人なので、その気になれば父親に会いに行けるはずだけど、
僕の中では父親は35歳のままなので、50歳を過ぎて老いたであろう
父親の姿を見るのが怖くて連絡も取らないままです。
赤ちゃんの頃の僕を抱っこする父親の写真を見ると、今の僕ととても似ています。

36 名前:もぐもぐ名無しさん 投稿日:02/05/13 00:39
>>29
私も父と別れて20年になりました。父の住んでいるところは知っていて、
でも今の自分に背負える問題ではない、だから1人前になったら会いに行こう、
そう思っていました。
その父は、今年2月に亡くなりました。いわゆる孤独死というやつです。
せっかちでカッコつけの親父だったし、結局あんまり親らしいことも
してもらえなかったのかもしれないけど、ずっと好きでした。
晩年はあまり良い生活をしていなかったのでしょう。カッコつけだから、
そんな状態になっても黙っていたのかもしれません。
でも、せっかちだからって、そんなに急いで逝くなよ。
今までそれなりに頑張ってこれたのも、親父にいつか会うつもりだった
からなのに。

つい先日100か日を終えました。
あんまり宗教には興味ないけど、坊さんが言っていました。
「亡き人を供養するのは、何も仏さんに手を合わすだけじゃない。
亡くなったお父さんの血をひくあなた自身を大事にすることも、
立派な供養です。」

結局頑張り続けなければならないのか。
でも、それが自分の生きる力になるのなら、それでもいいのかも、と思う。
親の死って、子供に対する最後の贈り物だと思う。
これを乗り越える力を、自力で養いなさい、という。

どうあっても、何をやっても後悔はするもんだろうけど、
予め考えられる後悔は、それが現実になるまで残すもんじゃないよ。
会えるんなら、会ったほうがいいよ。
俺なんか、20年ぶりの親父、棺桶の中だぜ。

ぐちゃぐちゃにかき回して作った焼きそば、まるでもんじゃだったけど、
どんな味だったかまでは覚えていない。
もう、それを知る術もない。

結局俺もカッコつけてて会えなかったんだろう。
あなたも、どこかに遠慮という名の体裁があるんなら、その後味わうかも
しれない後悔の大きさを考えたほうがいい。
やさしいあなただからこそ、きっと後悔はより大きくのしかかってくるよ。

大きなお世話、かつ長文にて失礼しました。





     

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