PickUp #126  2002.10.09   <- Prev  Home   Next ->


もしも車が話せたら その3 より

20 名前:レオーネセダン 投稿日:02/08/03 11:23 ID:r+/1XBTW
今日、私の家にたくさんの人が集まっています。
周りには、大きな花が所狭しと飾られて、とても綺麗です。
でも、楽しい気分になんか、なれないんですよ・・・。

私がこの家に来てから、随分たちます。
当時は、最新鋭の四輪駆動として周りをびっくりさせました。
雪の多い地方ですから、車高がかえられるのを、いたく重宝されたものでした。
はじめてお会いした時から、御主人は禿げ頭の爺様でした。
とても元気な爺様で、農協や村の仲間をつれて釣りに行ったり、山歩きに行ったり
と、私をよく使っておりました。
なんと、クマ退治をしてきたこともあるんですよ。
そうそう、免許取りたてのマゴにかり出され、調子に乗って雪壁にささってしまった
時は、ちょっと痛かったなあ。

でも、三年くらい前から、御主人は私に乗らなくなりました。
「痴呆症」という病気になり、うまく運転出来なくなってしまったのです。
それからというもの、息子さんや孫が来て時々借りて乗る以外は、ずっとひなたぼっこを
する毎日が続いていました。

21 名前:レオーネセダン 投稿日:02/08/03 11:24 ID:r+/1XBTW
続き

ところが、一月程のこと、ふと御主人が乗り込んできて、何となく、ほんとに何となく、
私とよく回った所を、ぶらぶらとドライブされました。ラジオを聞きながら。
『元気になったね』
とその時は、私もたいへん嬉しく思いました。

でも、それっきりでした・・・・。

御主人が、私に乗ったのは、それから一度だけ。10日程前のことです。
はじめて座った後部座席、辛そうな顔をして・・息子がさんが運転していました。

そして、昨日、御主人が帰って来ました.....あ、出てきました御主人。
白い木の箱に入って・・・・みんなに抱えられて。
何やら、とても豪華な車にのせられ、みんなに見送られています。

長い間、ありがとう。御主人様。

そうですねえ・・
私もそろそろヨレヨレですから、もうすぐ御主人のところに行けますよ。
またドライブしましょう。
そのときまで、さようなら。

44 名前:「大きな古時計」から 投稿日:02/08/04 11:36 ID:20OByTbM
ちいさな白い乗用車 おじいさんのカローラ
10年いつも走っていた ご自慢の車さ
おじいさんの退職金で やってきた車さ
今はもう動かない 白いカローラ

何でも知ってる乗用車 おじいさんのカローラ
孫が免許を取ってきた その日も走っていた
うれしいことも悲しいことも みな知っている車
今はもう動かない 白いカローラ

真夜中にクラクションが鳴った おじいさんのカローラ
お別れの時が来たのを 皆知っていた
天国へ昇るおじいさん 車ともお別れ
今はもう動かない 白いカローラ

10年休まずに どこへでも
おじいさんと一緒に どこまでも
今はもう動かない 白いカローラ

210 名前:名無しさん@そうだドライブへ行こう 投稿日:02/08/15 01:47 ID:rOhypHP0
ついに、この日が来たな。
でもまあ、軽のノーマルミラとしてはよく走ったほうだと思わないか?
あんたが免許取り立ての頃は毎日必ず乗ってくれたからな。
取り立てってのは大抵イキがるもんだが、あんたは輪をかけてムチャしてくれた。
そんときのあんたっていったら、毎日毎日飽きもせずに14kmも離れた彼女のバイト先まで迎えに行ってさ。
どうせ3年後には別れちゃうのにな。
その14kmの一般道を8分で帰宅ってのがレコードだったっけ。軽なのに煽られたことなんて一度もなかったもんな。
信号無視してパトカーに追われ、軽しか通れない細道を60km/h出して逃走したこともあったっけ。
俺もいつ電柱にぶつけられるかヒヤヒヤもんだったぜ。

ところがあんたは一人暮しを決めるやいなや俺を実家に置き去りにして行っちまった。
あんたの義理の姉さんが俺を引き取ったのはいいが、これがひどい運転しやがる。
おかげでバンパーは外れかかるし、コーナーポールは根元から折れちまった。
子供が車内にシールベタベタ貼るし、いろんなとこ引っ張るから天井のクロスがはがれてきた。
やがてそんな恐ろしい女もついに自分の車買ったってんで、俺はまた実家の裏手に置き去りにされてた。

あんたが地元にマンション買って帰ってきたって聞いたときは喜んだよ。
これでまたあんたに乗ってもらえるってな。
久しぶりに会ったあんたは嫁さんまで連れて、ボロボロの俺にまたよく乗ってくれたな。
俺の姿を人に見られるたび、「マンション買ったから金がなくてさ」って言い訳してるのがちょっと悲しかったけどさ。
俺はあんたのために、走りだけは昔のまんまだってところを見せようとはりきってたんだぜ。
ところがあんたもすっかり丸くなっちゃって、昔みたいにアクセルベタ踏みもしないし、出してもせいぜい70kmだもんな。

そんなあんたが昇進したってときは、心からおめでとうって思ったよ。
いや、わかってた。昇進したら新しい車買おうねって二人で話してるのも聞こえてたよ。
でもあんたの幸せそうな顔を見るのがうれしかった。本当、おめでとう。
そろそろ俺の薄汚れたボディはあんたの幸せな家庭には似合わなくなってきたよな。
ピカピカの新しいやつが来たら、今度は大事に乗ってやってくれよ。

215 名前:スカイライン 投稿日:02/08/15 21:37 ID:qhbUT89L
もう御主人様とは12年のおつき合いになるんですね。
仲間はもう売られたり廃車にされたりと、散々なものです。
御主人様がディーラーへ私を運転した時に理解しました。
「ああ、私は廃車にされてしまうのか」と。なにぶん旧い車ですからね。
助手席のお子さまがカタログを手に座ってますね。
初めてお会いした時はまだタイヤくらいしかなかったのに、大きくなられて。。。

家の窓から新しい車の話が延々と聞こえてきます。
御主人様の元へ仕えて以来、いずれ来る事だと分かっていましたが
やはり、悲しいものですね。

久しぶりに私の背中を流してくださる方がいるようですね。
・・・お子さまではありませんか。
小さい頃からよく洗ってくださいましたね、有り難うございます。
隅々まで掃除して貰えて嬉しゅうございます。
ツブされていく私にせめてもの誂えを施しなさってくれるとは・・・

となりに白いワンボックスがやってきました。
「おうスカイラインさん、御苦労でしたね」
「いえいえ、これからは御主人様と御家族の皆様をよろしくお願いします」
お子さまが私を手放したくないと泣きながら車中にいらっしゃいます。
もういいんですよ。私は皆様の為に十分働きましたから。。。
営業さんが私のエンジンを始動させます。
バックミラーのお子さまの泣き顔がどんどん遠くなって・・・

・・・車検証を抜かれ、廃車を待つのみとなった私だったのですが
ディーラーの倉庫で点検されているではありませんか。
廃車になる私に何故点検を?

そしてキーを差し込まれ、エンジンがかかりました。
私はこれからどうなるのでしょうか。
着いた所はあのワンボックスのある、見なれた家が。
御主人様!

「私が乗ります」と営業さんがおっしゃり、私は生き長らえる事ができました。
お子さまが泣いて喜んでらっしゃいます。本当にありがとうございます。


今は木々に囲まれた涼しい道路をひた走り、新しい御主人様の職場へと向かう日々です。
時々、お子さまはあのワンボックスを運転してらっしゃるのかと思い出します。
新しい車には負けますが、あの楽しい日々は忘れません。
ありがとうございました。




     

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